2013年8月12日月曜日

北の先軍政治は文革のミニチュア

金一族の世襲明文化=10大原則、39年ぶり改正-北朝鮮
 【ソウル時事】韓国の朝鮮日報は12日、消息筋の話として、北朝鮮が6月に、憲法や労働党規約よりも上位とする「党の唯一思想体系確立の10大原則」を39年ぶりに改正し、「白頭血統」という言葉を使い、金正恩一族の政権世襲を明文化したと報じた。
 改正により、「プロレタリア独裁政権」との表現を削除。また、「共産主義偉業」に代わり、金日成主席、金正日総書記による「主体革命偉業」という言葉で、共産主義国家から「王朝国家」への移行を強調している。
 同筋は「統治理念を金日成主義から、金日成・金正日主義に変え、金正恩第1書記を彼らと同格とした。金一族の世襲の正当化、規範化に焦点が当てられている」と指摘した。(2013/08/12-11:30)


 この件でデイリーNKの記事を読んだらちょっと面白い記述があったので書き留めておこうかなと。

北、39年ぶりに「10大原則」修正
北朝鮮住民を抑圧する統治手段として活用されている「党の唯一思想体系確立のための10大原則」(以下、10代原則)の一部内容が修正されたという。金日成に対する絶対的な忠誠を強要する内容は維持したまま「金正日将軍様」という文句が各原則と細部条項に挿入され、金正日偶像化を強化している。
(略)
さらに「10大原則の2条『偉大な首領様金日成同志を忠誠で高く仰ぎ奉らなければならない』が偉大な太陽金日成同志と金正日将軍様を忠誠で高く仰ぎ奉らなければならない』に修正された。金正日将軍様という文句を挿入したのは金正日が金正恩の父親であるためであり、金正日に対する永久的な偶像化を勧めている」と話した。

 初代の金日成には「首領様」というなかなか素敵なニックネームがあったのですが、とうとう「偉大な太陽」になってしまったようなんですね。これ聞いて驚く人もいるかもですが、実はこの太陽という表現もパクリなんだよなぁ…。

東方紅

東方は紅、太陽が昇った、
中国には毛沢東が現れた。
彼は人民の幸福を謀った。
彼は人民の大いなる救いの星!

毛主席は人民を愛する。
彼は私たちの進路を示す人。
新中国を建設するために、
私たちに前進を指導する!

共産党は太陽、
どこの地でもどこの地でも照らす。
どこの地にでも共産党はある、
どこの地の人民も解放された!

 そして今回めでたく金日成が偉大な太陽に出世したというわけですね。イヤー、よかったヨカッタ(笑)

 よくテレビで北朝鮮の映像を見て気持ち悪がる人がたくさんいますよね。マスゲームとか数万人が完全に一致した動きをするのを見て、うへーイヤダーと思った人は多いと思います。

 もちろん生理的にキモイ映像が多いので当然なんですが、実はアレ、歴史的に前例のあることで、あれが文化大革命時代の中国の雰囲気なんですよね。だから北朝鮮を訪れた中国人観光客が、文革時代にタイムスリップしたようですごく郷愁を誘われると言ったりする。

 とはいえ、さすがに現在の中国では毛沢東時代の誤りも指摘されますし、文革時代には戻りたくないという意見もメディアに載ります。そもそも現在の中国共産党幹部はみんな文革嫌いですよね。当たり前ですが中国人も歴史に学んでいるわけです。

 ところが文革といい儒教といい、中国の文化が朝鮮半島に入ると、本家中国をはるかに上回る徹底ぶりで、いっさい反論も多様性も認めない奇形的な文化に発達していく。これは歴史の謎であります。単に歴史学だけでなく心理学や精神分析の知見も応用していかないと、朝鮮半島の謎は解明できないのではないか。

 まあ将来にわたってこんな研究が行われる可能性はゼロなのですが、解けない謎が存在すると知ることは、人間の知恵が有限であることを思い知るという意味でも重要ではないかなと思います。「異民族の心は容易に理解できない」ということを、日本人はもっと深く強く感じとるべきではないでしょうか。

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