2013年1月24日木曜日

各国元首の就任式典

2012~13年の各国選挙ラッシュも一段落。オバマ大統領の就任式も終わったところで、各国元首の就任式を『宣誓』の視点から眺めてみました。

 私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う。神のご加護を。

 最高裁長官の前で聖書に手を置き、合衆国憲法を守ることを誓うのが米大統領の就任宣誓。大統領は単に行政の長であるだけでなく、米国の国家元首でもありますから、日本の総理大臣とは全く異なる位置づけとなります。

 ロシア連邦大統領としての責務を果たす上で、私はここに宣誓します。国民の権利と自由を尊重し保護すること、ロシア連邦の憲法を遵守すること、国家の主権と独立・安全・保全を守ること、そして誠実に国民に奉仕することを。

 憲法裁判所議長の前で聖書に手を置き、ロシア連邦憲法を守ることを誓うのがロシア大統領の就任宣誓。宣誓の文言は憲法に規定されているところが面白いですね。

 米露両国とも就任式で大統領に憲法を守ると誓わせていることは興味深いところ。その点、意外とあっさりしているのがフランスです。

 フランスの場合はいわゆる大統領就任式ではなく、権限委譲式という形になります。新大統領はエリゼ宮に赴き、前大統領から国家機密と核ボタンの引き継ぎを終えると、憲法裁判所長官より「大統領の正統性」を明言されます。就任関連文書にサインし、レジオンドヌール勲章の大十字章を授与されることで、晴れて大統領となります。

 それぞれお国柄の出る大統領就任。ここまでは国家元首と行政の長を兼任する共和制国家を見てきましたが、今度は王政の国家を見てみます。

 英国エリザベス女王の戴冠式です。カンタベリー大主教の前で英連邦の王として、これらの国の法を守ると宣誓していますね。言うまでもなく英国は成文憲法を持ちませんので「憲法を守る」と誓ったりはしませんが、女王も戴冠式でちゃんと宣誓をしているわけです。

 聖エドワード王冠ほか宝剣、王笏、王杖、指輪、手袋などを授けられて王位に即位します。ちなみにエリザベス女王の戴冠式には、先帝昭和天皇陛下の名代として皇太子殿下(今上陛下)が列席されておられます。

 さて、そこで我が国、日本の即位礼を見てみましょう。

 さきに、日本国憲法及び皇室典範の定めるところによって皇位を継承しましたが、ここに即位礼正殿の儀を行い、即位を内外に宣明いたします。
 このときに当り、改めて、御父昭和天皇の六十余年にわたる御在位の間、いかなるときも、国民と苦楽を共にされた御心を心として、常に国民の幸福を願いつつ、日本国憲法を遵守し、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓い、国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。

 正殿の儀のおことばに明らかなように、天皇陛下も即位にあたり宣誓をされておられることが明らかですね。単純に憲法との関わりだけで見れば、正殿の儀は大統領就任式における就任宣誓と同じ意味を持つと言えます。

 先帝昭和天皇陛下も立憲君主としてふるまうことを第一と考えておられたが故に、美濃部達吉の天皇機関説にも賛成しておられたわけですから、これは当然と言えば当然のことでしょう。

 もちろん、陛下は『常に国民の幸福を願う』ことも宣誓されておられます。これは日本人として本当に涙が出るほどありがたいことであるのは言うまでもありません。

 しかし、ここでひとつ考えてみたいのは、現行日本国憲法とは、果たして陛下がお誓いを立てるに値するほど立派な憲法なのだろうかか?ということです。

1 件のコメント:

  1. はじめまして、興味深い投稿でしたので反応します。

    >現行日本国憲法とは、果たして陛下がお誓いを立てるに値するほど立派な憲法なのだろうかか?

    強烈な疑義がありますね。
    私は今23歳ですが、
    20代の間に、憲法改正の国民投票が実施され、
    よりよい憲法の改正を早くみたいです。
    そして、日本国民の手で制定した新憲法を戴きたいです。

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