2012年6月10日日曜日

国会事故調と崩れる菅直人神話

国会事故調は福島原発事故について「官邸の過剰介入が事故対応に支障を生じさせた可能性がある」との見解を発表。「東電が全面撤退を主張した形跡はない」との判断も示し、事故後から主張されてきた「菅直人神話」がただのデマに過ぎないことが証明されつつある。


国会事故調「全面撤退」形跡なし 東電主張に傾く  日経
2012/6/9 21:10 (2012/6/10 3:30更新)

 国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は論点整理で、当時の菅直人首相ら官邸や政府関係者の危機対応の拙さを強調した。東電が福島第1原発からの全面撤退を申し出たと政府側が主張した問題でも「全面撤退を決定した形跡は無い」と東電側の主張に傾いた。月内にも公表する報告書は官邸や関係省庁に厳しい内容になる可能性が高い。

 論点整理は菅前政権の幹部や、東電社長だった清水正孝氏からの公開聴取後、黒川清委員長らが協議して見解を集約した。菅氏らの主張の多くが退けられている。

 菅政権幹部の行動ではとりわけ(1)事故報告への認識の不十分さによる住民への情報伝達や避難指示の遅れ(2)発電所内への介入による現場の混乱――を問題視。これを踏まえ、危機管理体制のあり方について「オンサイト(発電所内)は事業者、オフサイト(発電所外)は政府が責任を持って対応することを原則とすべき」と提言している。

 政府と東電の言い分が食い違う事故直後の東電職員の現場からの撤退問題も、当時の清水社長との電話で「全面撤退」と受け取れる反応だったとした当時の官房長官、枝野幸男氏や経済産業相だった海江田万里氏の主張は採用しなかった。

 国会の事故調査委員会が政権側にきわめて厳しい発表を行ったことで、事故後から民主党がしきりに吹聴してきた「菅直人神話」がただのデマでしかなく、実態はむしろ「菅直人リスク」だったことが明らかになってきました。

 この国会の事故調査委員会は会議も公開されていますし、参考人の出頭を求めることができるなど、政府事故調とは大いにことなるものです。

 当初、民主党側は「政府の事故調査委員会があるからもう一つ作る必要はない」などと強弁していましたが、政府の事故調は会議も非公開で「責任の追及はしない」などと生ぬるいものだったため、自民党初め野党が反発し、国会事故調が設立された経緯があります。この件で自民党の逢沢一郎国対委員長が果たした役割は大きかったと言えます。

 東電が福島第1原発からの全面撤退を申し出たと政府側が主張した問題でも、委員会は「全面撤退を決定した形跡はない」と東電側の主張を認めており、政府・民主党側の「菅さんが乗り込んで怒鳴ったから全面撤退が阻止された」という言い分は否定されました。

 まあ、この件に関しては東電が民間事故調の調査に応じなかったせいで民主党側に言い張る余地を残してきたわけですが、国会事故調が東電側に質問するまでもなく菅直人の自作自演だろうと言われていたんですよね。

 今回やっと公式の場で「菅直人神話」が崩壊したわけですが、こうやって化けの皮がはがれていくのはいいことだと思います。東電の言うことは信用できないと言って菅直人を擁護する人もいるようですが、それはいくら何でも無理筋な擁護でしょう。

 原発事故が起こったときに何が不安だったかと言えば、政権与党が民主党だったことです。特に菅直人が「僕はものすごく原発に詳しい」などと言い始めたとき、多くの心ある国民が「こいつはマズイことになったな…」と思ったでしょう。

 「自民党だったら、谷垣総理だったらもっとうまく対応できたというのか?」という意見も聞きますが、それはもう間違いなく民主党・菅直人よりマシな対応をしたと断言できます。

 それは震災後に自民党が577項目に及ぶ政策提言を政府へ行ったことからも明らかでしょう。それらを無視して復興を遅らせているのは他ならぬ民主党なんですね。

 両党の実務能力には天地の開きがあることをまず理解しておかないと、ダメだダメだの比較論から脱皮することはできないでしょう。別に原発対応や震災復興だけでなく、外交安保・経済政策・竜巻などの災害対応や交通政策まで、実務面で自民党と民主党の間には決定的な力の差があることを国民は十分肝に銘じておくべきと思います。

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